すべての大学にTOEFLを導入しよう!
毎週火曜日は神奈川大学経済学部で国際ビジネス、月・木曜日は名古屋外国語大学、水曜日は東大でTOEFLを教えました。東京大学では大学院への英語試験科目がTOEFLですので、学内での受験生達のための対策集中コースでした。
昨年の、東北大学でTOEFL集中コースを教えて以来、私はすべての大学にTOEFLを導入してほしいと考えるようになりましたが、今やその思いは強くなるばかりです。TOEFLは、アメリカの大学への留学生対象のテストですので、アメリカの歴史や文化、政治経済の頻出度は高く、また人類学、生物、化学、地学、医療、芸術、科学など広範囲の分野にわたります。つまりアカデミックな英語とコンテンツからリベラルアーツを学ぶ最高な手段と言えます。
また日本の知識重視型の学校教育にはないアメリカの大学特有の学び方が可能です。イギリスの大学でもそうでしたが、よく質問されるのは、
”Is it the fact or your opinion? If it is your opinion, what is the reason? “
“What is your standpoint?“
です。事実かあなたの意見なのかはっきりさせ、意見ならばその視点や根拠を問います。TOEFLにはそのような要素を含む質問があります。
東北大学では、大学・大学院、理系・文系に関係なく英語力別に編成されていました。このやり方が非常にいい。TOEFLのトピックが自分の専門だと、英語で理解したことを他の学生たちに説明してくれて、授業は盛り上がります。またグループ別になぜそれが答えなのか考え、話し合うようにしました。そこにコミュニケーション能力も生まれるし、学び合う姿勢も生まれます。ピアティーチング・ラーニングです。学生たちは先生からのことばよりも、仲間(peer)の言葉をより身近に感じ、耳を傾けます。
従来の知識重視型やスコアアップのためのテクニックの習得に限界があります。短期間や特殊な目的のためであれば有効ですが、子供たちの学ぶ力や喜びを奪ってしまうことになりかねません。実際に学生たちは、spoon-fed型(親が子供にスプーンで食事を与えるような一方的な)学び方に辟易している学生が多くいます。バイトや友達と遊ぶことを最優先する学生たちが多い理由のひとつではないでしょうか。
おもしろいのは、今回のTOEFLの教材を使った3か月間のコースで、テスト内容が異なるTOEICのスコアが、TOEFLと同じ位伸びていたことです。ぜひ大学と高校にTOEFLの学びを導入して欲しい。英語4技能(読む・書く・話す・聞く)力を身につけるだけでなく、書いて字のごとくliberal arts『自由になるための芸術』に触れることができます。TOEFLレベルの英語力がなければ、Pre-TOEFLという予備段階のプログラムにすればいいのです。
今、日本の英語の学び方を変えなければ、日本人の英語力はこれからどうなるのか、切実に一考が求められている時だと言えます。