昨日は一日中、羽田空港国際ターミナルで、日本の伝統芸能を紹介するイベント
『Short Trip to Traditional Japan』
の通訳。
この時期外国人のお客様は非常に少ない。特に中国からはさっぱり。翻訳も請け負っていて、準備段階からいくらか関わっていたので、ちょっとさみしかった。
でも、江戸時代からの浪曲やきより(江戸時代の火消したちによる歌)や舞踊などをはじめ、特にバイオリンと三味線の若い女性ふたりのDUO、時にギターも入るhamanasの演奏はすばらしかった。日本の音色はどこか寂しく、しみいるものがありながら、それでいて元気にさせてくれるものがある。心の琴線に触れるとはよく言ったものだ。
三味線とお琴の制作をお見せするのだけれど、小さな男の子が触りたくて仕方ない様子が微笑ましかった。何年か前に学術雑誌『The East』に、雅楽について執筆したことがあるけど、学校でももっともっと日本の音楽を教えるべきだと書いたが、その思いは変わっていない。私たちは日本人なのだから。日本の伝統芸能は私たちの誇れるアイデンティティでもあるはず、それは忘れてはいけないと思う。
熱心にお琴の制作者に質問していたインド人男性。シタールと比較しておもしろかったよう。午前と午後の部で通訳をしたtea ceremony。通訳や翻訳の仕事でおもしろいことは、自分の好奇心が刺激されること。知らないことを知るのは楽しい。茶道の歴史やお道具、お花の意味、お琴に使われる材料、構造、値段のつけ方など、その他いろいろ学んだ。
日本の伝統芸能は、やはりおもしろい。
呉 春美