美しい言葉

毎週京都出張が続いています。ある日の朝、早めに京都駅に到着してちょっと用を足そうと入ると、そこはかなり混んでいました。仕方なく列の後ろに並び、待つことに。気がつくと、私の前は5人グループで、聴覚障害者の方々でした。静けさの中に、彼女たちの表情があまりに豊かで、手や腕の動きがいきいきとしているのにしばらく見惚れていました。そこはまるで、何か特別な光に包まれているようでした。

「手話って美しいんですね。」 思わず、目の前の手話通訳士だと思われる方に声をかけると、

「手話は言葉数が少ないから、その分表情を豊かにしないと伝わらないんですよ。」とにっこり。
「単語数ってどの位あるんですか。」
「う~ん、私が習い始めたときは3、4000語位ありましたけど。どんどん増え続けているから・・・今はどの位かしら。」
そうおっしゃって、仲間のみなさんに手話で質問されると、誰もが首を横に振り、分からないとのこと。みなさんの笑顔があったかい。

その後、また一緒になり、「ありがとう、ってどうするんですか?」とお聞きすると、左手の甲を上にして、前に差し出し、右手で何かを切るように上からトントンと叩く仕草をしてくださる。やってみると、そうそうとみんながうなずいてくださり、なんだか嬉しくなります。トイレの中がなんだかとても和やかな雰囲気です。

「どうやら相撲の立ち振る舞いからきているらしいんですよ。手話の語源を知るとなかなかおもしろいの。」
と、手話通訳士の方が説明してくださる。(なるほど、英単語も同じだわ。)

外に出ると、みなさんが、とびきり明るくてやさしい笑顔でバイバイと手を振ってくださいます。私もお辞儀をしながら、覚えたての手話、「ありがとう」をして別れました。
清々しくて、なんていい一日のはじまり。今日も頑張っていこう!と思ったのでした。

☆帰りの新幹線の中で、手話の単語数を調べると、医療など多くの専門用語を含めると8000語位ですが、実際に使われているのは500語位だそうです。「一つの手の形ならびに動作であっても、その強弱や速度、それと同時に表現される眉・目・頬・口・顎などの形と動きとの組み合わせで、多彩な意味になります。」(コトバンク 聴覚障害者の方のコメントより)

あぁ、だから手話は手や腕の動きと表情が豊かで美しいのだと納得したのでした。

「ことばは心から出て、心に帰る」(言語脳学者・酒井邦嘉)

呉春美

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